沖縄県名護市の辺野古沖で平和学習中の同志社国際高(京都府)の生徒を乗せた小型船2隻が転覆し、生徒らが犠牲となった事故の取材を続けている。言い知れぬ怒りを抑え、努めて冷静に報じてきたつもりだが、あえて、言わせていただく。事故は「人災」と言っても過言ではない、と。
「抗議船というくくりで安全性に問題があるということではなく、抗議にも使われている船であるということ。安全性を確認した上で、本来その目的に合わせて使用されている船であると認識している」
3月27日に行われた玉城デニー知事の定例会見。米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する団体が抗議船に高校生を乗せていたことの是非を筆者が問うと、玉城知事はこう答えた。抗議船だから危険というわけではないとの見解なのだろうが、これに反論したい。
事故当日の3月16日夜、2隻を運航する「ヘリ基地反対協議会」が開いた会見で、筆者は運輸局(沖縄では内閣府沖縄総合事務局運輸部)への登録はしているのかただした。抗議団体側は「登録というよりは、要するにボランティアで。事業でやっているわけではないので…」と釈明した。
「無登録」だったことが初めて明らかになった瞬間だった。他人の要望に応じて人を運ぶ場合は、転覆した2隻のような小型の「非旅客船」でも「内航一般不定期航路事業」に該当し、国への登録が義務付けられている。これは無償・有償を問わない。産経新聞は無登録を問題視する報道を繰り返した。第11管区海上保安本部も2日後、海上運送法に基づく事業登録をしていなかった疑いがあるとして、同法違反容疑でも捜査に乗り出した。
筆者が事業登録の有無にこだわったのは、社会部記者時代に北海道・知床半島沖で発生した観光船沈没事故を取材し、二度と悲惨な事故を起こしてほしくないとの遺族の思いに接したからだ。乗客乗員26人が死亡・行方不明となった令和4年4月の知床観光船沈没事故。福岡県の遺族の男性は「厳格なチェックが必要だ」と訴えていた。こうした遺族らや世論に応える形で海上運送法が改正され、転覆した抗議船のような小型の非旅客船にも法の網がかけられた。有償・無償を問わず登録が義務付けられるようになったのである。
にもかかわらず、かの抗議団体は事業登録をしていなかったため、風速や波高による出航判断の基準などを定めた「安全管理規程」も策定されず、出航の判断は船長任せであった。いわば、法の網をすり抜け「野放し」の状態だったのだ。
会見で筆者は、辺野古移設工事の現場を生徒たちに見せることが、平和学習としてどのような意義があるのか、とも尋ねた。団体の共同代表はこう言った。