国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の宇宙船「オリオン」が日本時間7日朝、月の裏側に回り込み、アポロ計画以来54年ぶりとなる有人月周回を行った。裏側を飛行中は途絶していた地球との通信が回復し、地球側に戻ったことを米航空宇宙局(NASA)が確認した。
飛行データの分析はこれからだが、既にNASAは、オリオンが月周回に入る前の7日午前2時57分ごろ、1970年にアポロ13号が打ち立てた記録である約40万170キロを超え、人類史上、地球から最も遠い地点に到達したと発表している。
その後も計画通りに飛行していれば、7日午前8時2分に月面から約6550キロまで最接近。5分後には、地球からの距離をさらに更新して約40万6800キロに達し、アポロ13号の記録を6000キロ以上も上回ったことになる。
オリオンは7日未明、月の裏側を回り込む軌道に入り、午前7時45分ごろに地球との通信が途絶した。通信は午前8時25分ごろに回復し、この時点で月の裏側から出たとみられる。今後は地球に向かう軌道に入り、11日朝には大気圏に再突入。米カリフォルニア州沖の太平洋に着水して帰還する。
今回の飛行は、月を一回りする一般的な月周回軌道ではなく、月の裏側に回り込んでから、そのまま地球に戻る軌道を採用している。月の重力を利用して進路を変え、地球に帰還できる軌道に正確に入るには、高度な制御技術が求められる。また、月の裏側を飛行中は通信が途絶えることから、不測の事態が発生した場合、地球からの遠隔操作による支援が見込めない。そのため、今回の飛行計画の中で、最大の難所とされていた。(伊藤壽一郎)