国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の宇宙船が日本時間7日、約半世紀ぶりの有人月周回を成し遂げた。飛行を支えたのは、米航空宇宙局(NASA)が開発したロケットでは史上最強となる「SLS」と、新型有人宇宙船「オリオン」だ。
オリオンを打ち上げたSLSは2段式ロケットで、月や火星の探査を見据えた超大型機だ。全高は約98メートルで、自由の女神像より高い。第1段機体は主エンジン4基と大型補助ロケット2基を備え、ロケットと宇宙船、燃料など総重量約2600トンもの機体を一気に打ち上げた。宇宙空間に到達後は第2段機体が2度燃焼し、オリオンを地球周回軌道へ送り込んだ。
一方、オリオンは飛行士が乗り込むカプセルと、電力や軌道制御を担う後部の機器ユニット、緊急時の避難に使う脱出装置で構成され、4人が最大約3週間過ごせる。カプセルは地上に帰還する際、時速約4万キロの超音速で大気圏に再突入して生じる高温にも耐えられる。脱出装置は打ち上げ中に異常が起きた場合、瞬時にエンジンを噴射してカプセルを機体から切り離し、パラシュートで着水させる。今回は使われず、打ち上げ約3分後に切り離された。
オリオンは2014年に無人飛行試験、19年に脱出装置の実地試験、22年にSLSと組み合わせた無人での月周回の飛行試験を実施した。今回は、その積み重ねの上に立つ初の有人飛行となる。(伊藤壽一郎)