政府は10日、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術を施したヒトの受精卵を子宮に戻すことなどを規制する法案を閣議決定した。違反した場合は10年以下の拘禁刑か1000万円以下の罰金、またはその両方を科す。ゲノム編集を施した子である「ゲノム編集ベビー」の誕生を規制する。
上野賢一郎厚生労働相は同日の閣議後記者会見で「今後本国会において速やかに審議をいただくようお願いしたい」と話した。
ゲノム編集を施した受精卵を子宮に戻し生まれた子は、遺伝性の病気の発症などを抑えられる可能性があるとして注目される。ただ親が望んだ身長や容姿、能力などを持つ子を誕生させようとする試みにつながる可能性があるほか、狙った場所と異なる遺伝子を改変する可能性があるなど、技術的な課題や倫理的な問題も指摘される。
米国や欧州などではゲノム編集ベビーの誕生につながる行為を禁止している。日本では研究レベルで受精卵を子宮に戻すことを禁止する指針がある一方で、医療行為における法規制がなかった。
ゲノム編集技術は2012年、簡単に狙った場所の遺伝子を改変できる「クリスパー・キャス9」という技術の登場で急速に普及が進んだ。18年には中国の大学の研究者がエイズウイルスに感染しにくいように受精卵を改変したゲノム編集ベビーが誕生したと公表し、国際的に注目を集めた。
こうした動きを受けて日本政府は19年から法規制に乗り出す考えを示し、議論を続けていた。厚生労働省などは25年末、受精卵をヒトの子宮に戻すことを禁止し、違反した場合は罰則を設ける方針を示した。