アルテミスの宇宙船オリオン帰還、2年後の有人月面着陸へ大きな前進 日本人着陸にも弾み

科学・医療 産経新聞 2026年04月11日 11:41
アルテミスの宇宙船オリオン帰還、2年後の有人月面着陸へ大きな前進 日本人着陸にも弾み

国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の宇宙船「オリオン」が、日本時間11日、54年ぶりの有人月周回を終えて地球に帰還した。アポロ宇宙船以来となる2028年の有人月面着陸に向け、大きな前進で、中国との競争でもリードした形だ。月面車の提供や南極域の無人探査などを担う日本の役割も、いっそう重みを増してくる。

米航空宇宙局(NASA)によると、次にオリオンが打ち上げられるのは27年だ。地球周回軌道に投入され、月着陸船の候補となる民間の宇宙機とのドッキング試験を行う。翌28年には、アルテミス計画として初の有人月面着陸を実施。米国の宇宙飛行士らが、月の南極付近で1週間ほど活動し、人類の月利用は新たな段階に入る。

日本人宇宙飛行士2人の月面着陸も予定されているが、時期は公式には固まっていない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)で国際宇宙探査事業を担当する川崎一義理事補佐は「最初の月面着陸の次となる28年後半から29年前半に、日本人1人がまず月面に降り立つ展開ではないか」と話す。

月面基地の建設にも関心が集まる。採掘した氷を溶かせば水が容易に調達できるとされる、月の南極を主な舞台に、電力や通信、運搬や居住の手段を整え、持続的に人が活動できる環境を整える。NASAは今春、月面のインフラ整備を急ぎ、少なくとも年1回の月面着陸を行う方針を打ち出した。基地建設は29年ごろに着手し、本格運用は32年以降の見通しだ。

一方、月の上空を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設する構想もある。オリオンや月着陸船、地球からの補給船がドッキングし、月面探査の中継や研究に使う国際拠点だ。31年完成の予定だったが、月面基地の建設を優先する方針を受け、時期が遅れる可能性が出てきた。

日本も重要な役割を担う。日米合意で、日本は宇宙飛行士が普段着で生活しながら移動できる月面車「有人与圧ローバー」を開発する。31年以降に提供する見通しで、月面基地建設が進む中、人の移動と生活を支える切り札になる。さらに28年度には、日本とインドが共同で月の南極域に無人探査機「ルペックス」を打ち上げ、水資源の有無と利用可能性を調査。その成果は月面での有人活動に行かされる。(伊藤壽一郎)

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