月面基地と資源開発に弾み 米中主導権争いの中、日本も中核へ アルテミス有人月周回成功

科学・医療 産経新聞 2026年04月11日 17:30
月面基地と資源開発に弾み 米中主導権争いの中、日本も中核へ アルテミス有人月周回成功

オリオン宇宙船の帰還で、国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の有人月周回が11日、成功した。月への輸送手段の確立に向け、大きく前進した形で、米航空宇宙局(NASA)は同日、月を「行って帰る場所」ではなく「とどまる場所」だと改めて位置付け、月面基地建設を急ぐ姿勢を一段と強めた。

背景には中国との主導権争いと、月面利用のルール作りを米主導で進めたい思惑がある。基地建設が本格化すれば、人や物資の輸送、資源開発をめぐり、宇宙ビジネスのさらなる拡大は確実だ。

科学的な面でも、有人飛行の重要さが鮮明になった。宇宙飛行士らは月面の色や明るさ、地形の違いを肉眼で観察して言語化し、隕石などの衝突で生じる光も観測した。これらの成果は、月の成り立ちだけでなく、将来の月面活動の安全性評価にもつながる。無人探査の成果に、人の目と判断が新たな価値を加えた。

日本への影響も大きい。日米合意で、わが国は日本人飛行士2人の月面着陸の機会を得るとともに、月面基地の建設段階で大きな役割を果たす月面車「有人与圧ローバー」の開発を担っている。単なる参加ではなく、月面インフラの中核を担う立場だ。また、月面で人が暮らし働く時代が来れば、日本の強みである移動技術や環境制御、材料やロボットはますます重要になる。オリオン宇宙船の帰還は、新たな時代の扉を開いた。(伊藤壽一郎)

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