衆参両院は15日、皇族数確保策に関する全体会議を衆院議長公邸で開く。昨年4月以来約1年ぶりで、衆参の正副議長が全13党派から意見を聴取する。全体会議は令和4年1月に始まったが、「立法府の総意」の取りまとめには至っていない。主要政党のうち、党内意見を集約できていない中道改革連合の対応が成否を左右しそうだ。
全体会議には自民党などのほか、結党して間もない中道とチームみらいが初参加する。土台となるのは政府有識者会議が令和3年に取りまとめた報告書だ。①女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する一方、配偶者と子は一般国民とする②養子縁組による旧宮家の男系男子の皇籍取得-の2案が軸となる。
政府は「立法府の総意」が得られれば速やかに皇室典範改正案を提出する構えだが、カギを握るのが中道の対応だ。
自民と日本維新の会、国民民主党、参政党の主要政党は伝統的な男系継承を尊重する内容の報告書を高く評価している。
これに対し、立憲民主党と公明党が衆院で結党した中道は統一意見を持っていない。合流前の公明は報告書に沿った見解をまとめていたが、立民は賛否が割れ、両論併記の「論点整理」しか示すことができなかったことが尾を引いている。
報告書に特に批判的なのが、立民出身の野田佳彦顧問だ。他の主要政党が前例のない「女系天皇」の誕生を懸念し、配偶者と子の扱いを国民とすることに賛同する中、皇族の身分付与を検討すべきだと訴え続けている。②に関しても「(旧皇族の)子孫だけに特権的に皇族の身分を与えるプラン」と否定的だ。
とはいえ、野田氏の主張は中道の多数派ではない。9日に公表された党内アンケートの結果によると、回答した国会議員44人のうち、皇族身分の付与に賛成が10人、反対が19人、どちらとも言えないが15人。②については賛成が24人、反対が7人、どちらとも言えないが13人だった。
「(党見解の取りまとめへ)一任をいただける環境をつくりたい」。中道の「安定的な皇位継承に関する検討本部」の笠浩史本部長は9日、記者団にこう語った。4年に及ぶ議論に終止符を打てるのかは中道の決断にかかっている。(千田恒弥)
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15日に再開される皇族数確保策をめぐる全体会議では、令和3年12月に政府有識者会議が答申した報告書をもとに議論が進む見通しだ。報告書は皇位継承について秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さままでの流れは「ゆるがせにしてはならない」との考えを明示。そのうえで①女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する一方、配偶者と子は一般国民とする②養子縁組による旧宮家の男系男子の皇籍取得―の検討を呼び掛けている。
有識者会議が設置されたきっかけは、平成29年に上皇陛下のご譲位を定めた特例法が制定された際の国会の付帯決議だ。政府は「安定的な皇位継承を確保する諸課題と女性宮家の創設など」を検討し、国会に報告することが求められた。
これを受けて政府は令和3年3月から有識者会議(座長・清家篤元慶応義塾長)を計13回開催し、皇室制度や歴史、宗教に詳しい専門家らからヒアリングするなどして報告書をまとめた。
報告書は①に関し「皇室の歴史に整合的で、公的活動の継続性などの観点から望ましい」と評価した。ただ、配偶者と子を皇族とすることで前例のない「女系天皇」が誕生する懸念などがあり、「一般国民としての権利・義務を保持し続ける」とした。
②については「男子出生のプレッシャーの緩和にもつながるのではないか」との見方を示した。終戦直後の占領期に皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の人々について、「現行憲法・皇室典範施行後5カ月間、皇位継承資格を有していた」と指摘。具体的にはその子孫が養子として皇室に迎え入れられる。
①、②のいずれの方策でも皇族数の確保が難しい場合は③案として、「皇統に属する男系男子を法律で直接皇族とする」ことも提言した。ただ、③案は全体会議で議論が尽くされておらず、将来の課題になる。(大島悠亮)