トランプの通貨政策はニクソン・ショック級の大調整になる

経済 日経ビジネス 2025年05月30日 06:01
トランプの通貨政策はニクソン・ショック級の大調整になる

 トランプ・ショックが意味するものは何か。ドル高是正で日米独英仏の主要5カ国(G5)が一致した1985年9月のプラザ合意を意識する向きが多いが、実際には71年8月のニクソン・ショックに匹敵する大調整とみるべきだろう。

 71年7月15日、ニクソン大統領はまず電撃的に訪中計画を発表した。そして次に8月15日、これまた突然に金(ゴールド)とドルの交換を停止すると発表したのである。いずれも日本には寝耳に水だった。

 1945年に第2次世界大戦が終わって以降、経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた米国が重荷に耐え切れなくなり、一方的に投げ出した。それが2つのニクソン・ショックである。経済と金融の面から決定的に重要なのは、金・ドルの交換停止だ。

 ニクソン・ショックまでは、米国は海外当局がドルを持ち込めば、保有の金と交換してきた。だが手持ちの金が底を尽きかけたことで、これ以降は交換を停止すると宣言したのだ。ドルは金の裏付けを欠く「不換紙幣」となった。

 その結果、ドルは基軸通貨の地位を失っただろうか。否。その後も地位を保ち続けた。むしろドルがくびきから解き放たれたことで、米国は経済政策で自由度を高めた。世界の国々はドルを使い続けた。

 背景にあるのは米経済の存在感で、23年時点で依然として全世界のGDP(国内総生産)の26.2%を占める。しかも米国は巨額の貿易赤字を計上することで、世界にドルを供給している。米国は24年に世界に2.1兆ドルの輸出をする半面、世界から3.3兆ドルを輸入した。差し引き1.2兆ドルの輸入超過(貿易赤字)の分、世界からモノを買い、代金を支払った。

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