8日投開票の衆院選で、各党は物価高対策を掲げている。物価上昇に対しては当然、多くの家庭が生活費の見直しなど対応を行っているが、裏を返せば現金の価値が目減りしていく状況で、デフレ下とは異なる攻めの「生活防衛」が必要になる。具体的には株式や投資信託、金といったコモディティ(商品)、不動産など、現金以外の資産を一定程度保有し、運用することだ。家計の金融資産に占める現金の比率が高い日本だが、足元では変化の兆しもある。格差拡大による社会不安を抑えるためにも、資産運用の重要性が増している。
慌ただしい年の瀬を控えた2025年12月17日、金融関係者注目の統計が出た。日銀が公表した同年9月末時点の資金循環統計で、家計の金融資産に占める現預金の比率は49・1%となり、前回(6月)の50・3%から1・2ポイント低下した。この比率が5割を下回ったのは07年9月末以来、18年ぶりのことだった。
日本証券業協会の日比野隆司会長は、「『貯蓄から投資へ』のシフトが裏付けられる数字で、インパクトがある。2%を超える物価上昇が続いており、インフレに対応するための行動をしている人が多いのだろう」と分析する。
「貯蓄から投資へ」は、01年に小泉純一郎政権が打ち出した方針。現金に偏った金融資産を株式や投信などにシフトさせ、金融市場の活性化を消費拡大や企業の成長につなげる狙いがあった。その後も官民で進めようとしたが、現金の価値が下がらないデフレ下では、リスク資産は思うように拡大しなかった。