自宅近くの浸水の恐れは? 「新しい防災教育」で児童が親と野外調査

社会 毎日新聞 2026年02月03日 08:15
自宅近くの浸水の恐れは? 「新しい防災教育」で児童が親と野外調査

 四天王寺大(大阪)、奈良地方気象台と「新しい防災教育」の構築を目指す奈良女子大付属小(奈良市)の5年月組、迫田結香さんは1日、奈良市内の自宅近くにどんな危険が潜んでいるのかを両親と調べた。近鉄・大和西大寺駅にほど近く、秋篠川が流れる。浸水被害に焦点を絞った。

 結香さんはこれまでも自宅周辺を何度も歩いて調べてきた。災害時の避難所は南に約1キロ離れた市立都跡小学校。家も都跡小も秋篠川のすぐ東にある。堤は西側より東側の方が低いところが多く、川が氾濫したら自宅周辺も浸水する。2024年夏のゲリラ豪雨では、家の近くの側溝が今にもあふれそうになった。土地の高低差から水の流れを考え、都跡小までの避難経路をより浸水の可能性が低い道に変更した。

 もう一つの避難所は自宅北の西大寺北地域ふれあい会館。ハザードマップによれば浸水の可能性は低い。ただ秋篠川を渡る必要がある。結香さんは「あふれそうな川には近づかないのが鉄則。橋が流されるかもしれない。そうなったら家に戻れなくなってしまう」と話す。どちらに避難すべきか、悩ましい。

 結香さんがたどりついた方針はこうだ。避難先は気象庁の防災アプリ「キキクル」で浸水状況を調べて決める。橋を安全に渡れる場合のみ、ふれあい会館へ向かう。

 結香さんの防災学習で両親の意識も変わった。母親は「家を買う時は主に利便性を考えた。ハザードマップは見なかったし、浸水についても考えなかった。結香のおかげで防災リュックの中をこまめに点検するようになった」と話す。

 昨夏には石川県・能登の被災地を家族で訪れ、被災者に話を聞いた。母親は「想像を超えていた。防災袋を用意していても家が崩れて持ち出せなかった人がいた。地震の後の水害で心が折れたと話す人もいた」。トイレと水が一番困ったと聞いて防災リュックの中身を変えた。

 結香さんも意識が変わった。「災害という言葉は知っていたけど軽く考えていた。今のままでは自分の命を守れないと思った。自分の命は自分で守り、三人四脚の家族の絆で乗り切りたい」と話す。【大川泰弘】

関連記事

記事をシェアする