高市早苗首相は昨年10月、防衛費と関連経費を令和9年度に国内総生産(GDP)比2%へ引き上げる目標を7年度内に前倒しすると表明した。その言葉通り7年度補正予算に約1兆1000億円を計上し、7年度予算(約9兆9000億円)と合わせて11兆円規模になった。今年4月からは防衛力強化の費用を賄うため、法人税とたばこ税が引き上げられた。なぜ、政府はそこまでして防衛費を増額しようとしているのか—。
防衛費を関連経費と合わせて令和9年度にGDP比2%に引き上げる計画を定めた国家安全保障戦略などの「安保3文書」が閣議決定されて3年がたつ。この間、中国は国防費を日本の約4倍の約12兆8000億円増やすなど軍拡を進めた。日本政府が防衛費の「1%枠」にこだわらず、倍増する方針に転換しても中国との国防支出の差は開いた。
中国軍の活動は近年、特に目立つ。海軍の空母「遼寧」は昨年6月、初めて小笠原諸島やグアムを結ぶ「第2列島線」を越え、同年11月には3隻目の空母「福建」が就役した。ロシア軍との軍事連携も強化しており、昨年12月には両国の爆撃機が南回りで四国沖に至る共同飛行が初めて確認された。
さらに北朝鮮も、日本海へのミサイル発射をやめず、核・ミサイル計画を進める。ウクライナを侵略するロシアに武器や弾薬を供与し、1万人を超える兵士を派遣した。中露朝間の協力関係も深化している。