デジサート、事業戦略を発表--SSL証明書の期限短縮や耐量子暗号への対応を支援

科学・医療 ZDNet Japan 2025年05月28日 14:25
デジサート、事業戦略を発表--SSL証明書の期限短縮や耐量子暗号への対応を支援

 デジサート・ジャパンは5月28日、事業戦略説明会を開催した。SSL証明書の有効期限短縮や耐量子暗号への対応を支援するソリューションの提供に注力するほか、国内の営業体制の拡充、パートナープログラムの刷新なども図っている。

 説明会では、まず米DigiCert アジア太平洋グループバイスプレジデントのJames Cook氏がグローバルでのビジネス状況や市場動向を紹介した。

 ビジネス状況では、直近の会計年度第4四半期において新規の年間契約が過去最大という104%成長を記録。マネージドDNSサービスを手掛けるVercaraの買収、81件の新規特許など製品やビジネスへの投資が成果につながったとした。

 市場動向では、4月にCA/BrowserフォーラムでSSL/TLS証明書の有効期限が段階的に短縮され2029年3月15日以降は最長で47日となることが決定。これにより証明書のライフサイクル管理が煩雑になり失効や更新の不備といったリスクの高まりが懸念されているとした。

 また、量子コンピューターの性能進化に伴い、既存の暗号アルゴリズムが危殆(きたい)化されてしまう懸念も徐々に顕在化しているとする。2024年8月には、米国立標準技術研究所(NIST)から耐量子暗号(PQC)標準のドラフトもリリースされ、Cook氏は既に大手ITベンダーがその対応の動きを開始していると述べた。

 こうしたことから、今後数年にわたり企業や組織での証明書の運用管理の在り方なども大きく変化していくことが予想されるという。Cook氏によれば、例えば、デジタルサービス化が進む金融では、膨大な数の証明書の管理を効率化したいとするニーズが高まり、同社が金融業界向けに提供する公開鍵基盤(PKI)ソリューションの「X9 PKI」の導入が進んでいるという。

 さらに、企業や組織のITインフラでクラウドネイティブな環境の導入が進み、急激なAI開発ニーズの高まりも相まって、仮想サーバーやコンテナーなどにおける証明書の適切な運用管理が課題となっているとしたほか、IoT環境も拡大してデバイス間通信で必須の証明書の効率的な運用管理が求められていると説明した。

 同社では、多様な電子証明書ニーズに対応する「digicert ONE」と呼ぶプラットフォームを展開しており、Cook氏は、今後PKIとVercara由来のDNSソリューションも統合することで、現代のデジタル社会の根幹を担う「デジタルトラスト」を支えていきたいと語った。

 デジサート・ジャパンでは5月に、旧日本ベリサイン時代から営業部門の責任者を歴任している二宮要氏がカントリーマネージャーに就任。同氏は、digicert ONEの中で特に重点ソリューションとする証明書/PKI管理の「Trust Lifecycle Manager」、ソフトウェア証明書管理の「Software Trust Manager」、デバイス証明書管理の「Device Trust Manager」を挙げた。

 Trust Lifecycle Managerは、Cook氏が触れたSSL/TLS証明書の有効期限短縮やPQCへの対応においても有効になるという。証明書が必要な資産の検出とその状態の可視化、ライフサイクルを含む管理、運用管理の自動化を図るとし、パブリック認証局の構築・運用機能も搭載している。

 二宮氏によれば、いまだ多くの企業で証明書の運用管理が手動で行われており、管理すべき証明書の増加や運用管理の煩雑化が課題であり続けている。課題解決の必要性を認識した企業では、証明書を適切に運用管理するための予算化や体制の整備が進み出しているといい、Trust Lifecycle Managerで支援できると述べた。

 Software Trust Managerは、ソフトウェア開発での継続的なインテグレーション/継続的なデリバリー(CI/CD)パイプラインに統合して、ソフトウェアコード証明書の適切な運用管理を可能にするほか、ソフトウェア部品表(SBOM)と連携しての脆弱(ぜいじゃく)性管理、コンプライアンスの順守を支援し、デジタル変革などを背景にスピードアップするソフトウェア開発ライフサイクルでの安全性や信頼性の担保をサポートするとした。

 Device Trust Managerでは、コネクテッドカーなど多様化するIoTデバイスに関するさまざまなサイバーセキュリティ規制が世界各地で導入されていることから、メーカーらが順守できるよう設計の安全性やID/認証、機密データ保護、ソフトウェアの完全性などの要素をカバーし、デバイスの信頼性を支えているという。

 二宮氏は、同社の事業領域における市場の変化がかつてないほど大きなものだとし、顧客ニーズへ迅速に対応すべく約2年をかけて同社の営業体制を刷新したと説明。直接販売と間接販売において、既存顧客支援と新規顧客開拓の2つに変更した。

 また、システムインテグレーター(SIer)パートナー向けのプログラムも刷新。トレーニングメニューや日本語コンテンツの拡充を図り、SIerがデリバリーまでを実施できる内容に強化しているという。

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