「申し訳ありません。もう売り切れてしまって。入荷も未定なんです」。娘と大型量販店のおもちゃ売り場に行くと、目当ての商品があるはずの陳列棚は空っぽだった。
ボンボンドロップシール。もしかしたらドロップボンボンだったかもしれない。何がドロップでどうボンボンなのか。それくらい現物とネーミングが一致しない。今、売り切れの店舗が続出するなど、子供や親世代の間で爆発的な人気となっている。
平成時代に小学生だった女の子の文化が時を超えて令和の子供たちの間でも流行している。シール文化もその一つで、「平成女児」は昨年の新語・流行語大賞にノミネートされた。
件のシールは膨らみがあるのが特徴。ただ、膨らみがあったからといってすべてが「ボンボン―」というわけではなく、「タイルシール」や「おはじきシール」もある。何度も説明を受けたが、いまいち違いが分からない。
新しいシールを手に入れれば、笑みを浮かべてパンパンに膨らんだシール帳を開きキャラクターごとに貼りかえる。ただ、最大の楽しみはシールの収集ではなく交換だという。公園やマンションの共用スペースで、友達とシール帳を見せ合い交渉する。お気に入りのシールは「レートが高い」となり、相応の条件を相手にも要求する。子供にとって、物に価値を付け交渉するプロセスを体験できるのはいいことかもしれない。
残念がる娘をなだめ店を後にしようとすると、別の親子が店員に話しかけていた。「あれなんやったかな。売ってますかね。ボンボン…あの…シールなんですけどね」。ブームはまだまだ続きそうだ。(入沢亮輔)