米航空宇宙局は日本時間9日、国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」で、宇宙船「オリオン」が月の裏側を飛行した際に宇宙飛行士らが撮影した数千枚の画像の一部を公開した。月が太陽を覆い隠す皆既日食の様子やゴツゴツしたクレーター、巨大天体の衝突でできた「牛の目」のように見える奇景など、普段は地球から見えない月の裏側の世界が広がった。(伊藤壽一郎)
月南極のエイトケン盆地の東端に広がるクレーターだらけの地形。エイトケン盆地は月面で最大かつ最古の盆地で、数十億年かけて形成された地質学的歴史を垣間見ることができる。
画面いっぱいに写った月面の向こうに、地球が沈んでいく様子をとらえた。地球の暗い側は夜を迎えており、昼側のオーストラリア周辺には渦巻く雲が見える。
射撃の標的の中心にある「ブルズアイ(牛の目)」のように、3重の輪に囲まれた盆地「東の海」が確認された。巨大天体の衝突でできた地形で、黒い部分は衝突によって地下から噴出した溶岩が固まったものとみられている。
宇宙飛行士らの視点から、太陽を完全に遮る月が極めて大きく見えたという、約1時間にわたった「皆既日食」の様子。暗い月のまわりには、光の輪「ハロー」が広がっている。
滑らかな地表と、クレーターがつくる険しい地形の両方が見える。月の昼夜の境界線に当たる場所のため、長く伸びる影が生じてクレーターの凹凸が強調されている。
約1時間にわたる皆既日食が終わり、太陽が月の左端から昇り始めた。太陽が月の裏に隠れ、真っ暗な世界が広がっている間に、宇宙飛行士らは流星などが月面に衝突して生じた閃光(せんこう)を6回目撃したという。